窓の飛散防止対策には養生テープより飛散防止フィルムのほうが良い理由と業者に依頼した場合の費用について
飛散防止フィルム対策として養生テープを貼る効果とは
地震の発生直後や台風が近づくたびに、テレビなどで窓ガラスに養生テープを「米」の文字や格子状に貼る方法が紹介され、ホームセンターなどで養生テープが品薄になることもあります。しかし、「本当に効果があるのか」「飛散防止フィルムのほうが良いのではないか」と疑問に感じる人も多いと思います。
結論から言うと、養生テープは一定の効果はあるものの、テープを貼っていない所に衝撃が加わると破片が飛び散ってしまうため、養生テープだけでは不十分です。
養生テープは、主に工事や引っ越し、物を一時的に保護・固定するためのもので、ガラスの飛散防止を目的に使う場合には簡易的な対策として考える必要があります。一方、飛散防止フィルムはガラスが割れた際にフィルムが破片を保持し、飛散を防止する目的で設計されています。このように飛散防止フィルムと養生テープでは見た目以上に役割が異なり、効果にも差があるため、より安全な対策を行うために性能を理解し、正しい対策を行う必要があります。
誰でも手軽に対策ができる養生テープの効果とは
養生テープを窓に貼る目的は、災害や事故でガラスが割れた際に破片が室内に飛び散るのを軽減することです。つまり、養生テープを貼ったからといってガラスの強度が上がるわけでもなく、台風で飛来物が窓に衝突した場合にはガラス自体は割れる可能性があります。実験では、養生テープを「米」の字に貼ったガラスでも多数の破片が飛散するケースが確認されています。
ただし、養生テープで対策することが完全に無意味というわけではありません。
何もしていない場合と比べて、ガラスが割れた際にテープを貼った部分の破片を保持することで飛散を多少抑えられる可能性があります。
このように養生テープは一定の効果はあるのもの、あくまで緊急時の簡易的(一時的)な対策として位置づけられています。
したがって、養生テープは「本格的な防災対策」ではなく、他の対策ができない場合の応急処置的な補助策と考えるのが適切です。

養生テープのメリットとデメリット
養生テープは価格が安く、飛散防止フィルムを施工した場合と比較すると、費用を大幅に抑えられます。例えば、養生テープの場合、ホームセンターで1本(25m)200~300円程度で売られていますので、1,000~3,000円程度で対策することができます。
そして、養生テープは特別な道具や技術がなくても貼ることができ、台風が接近する直前でも対応できます。
ただし、長期間貼ったままにしておくと粘着剤の跡が残ったり、劣化して見た目もよくありません。養生テープの使用はあくまで一時的な補助策として考え、安全が確保できた場合には速やかに剥がす必要があります。
| 養生テープ | |
| メリット | デメリット |
| ・誰でも簡単に入手できる | ・貼り方によっては効果がない |
| ・すぐに貼って対策ができる | ・台風が来るたびに貼る必要がある |
| ・費用が安い | ・すぐに剥がさないと跡が残る |
飛散防止フィルムは何が違うのか
飛散防止フィルムは、窓ガラス全面に貼ることで、ガラスが割れた時にフィルムが破片を保持して周囲に飛散するのを防止することを目的としています。
一般的な養生テープは線状に貼ったり、部分的に貼るのに対してフィルムはガラス面全体に貼り付けます。この構造の違いが大きなポイントになります。
日本ウインドウフィルム工業会によると、「JIS A 5759」では窓ガラス用フィルムについて衝撃破壊や地震時の窓枠(サッシ)の変位・歪みなどを想定した飛散防止性能が規定されています。実験(3M社)でも養生テープと飛散防止フィルムを比較した衝突安全性の検証が行われています。飛散防止フィルムはガラスが割れた場合でも破片を保持することで飛散を抑える効果が確認されています。
ただし、「飛散防止フィルムを貼る=ガラスが割れなくなる」というわけではありません。
飛散防止フィルムの目的は、ガラスを強化して割れるのを防ぐことではなく、割れた際にガラス片の飛散と怪我を減らすことです。
そのため、「ガラスを割れにくくする対策」と「割れたガラスの飛散を防止する」は区別して考える必要があります。

飛散防止フィルムのメリットとデメリット
飛散防止フィルムの最大のメリットは、窓ガラス全面の飛散防止対策が行えることです。
養生テープのように一部だけを覆うのではなく、ガラス面全体を広く覆うため、ガラスが飛散した際にフィルムで破片を保持することが期待できます。
さらに飛散防止フィルムは無色透明で見た目や明るさの変化もほとんどありません。また、多くの製品には紫外線99%カット性能が備わっており、日常の紫外線による家具やフローリングの日焼けや色褪せを軽減することができるほか、フィルムの種類によっては遮熱(暑さ軽減)性能が備わっているものまであるため、目的に合わせて様々な対策が同時に行えます。
平常時から地震や台風に備えたい方には、災害や台風が接近する度に養生テープを貼るより、フィルムを施工しておくほうが安心です。
一方で、飛散防止フィルムにも注意点(デメリット)があります。
まず、養生テープに比べて費用が高くなります。とくに戸建ての場合には窓の枚数も多く、まとまった費用が必要になります。
業者に依頼する場合、フィルム代と施工代を合わせて1㎡あたり10,000円が目安で、10㎡の場合は約10万円になります。
| 飛散防止フィルム | |
| メリット | デメリット |
| ・ガラス全面の飛散を防止できる | ・大きな窓ガラスはDIYでは施工が難しい |
| ・見た目の変化が少ない | ・材料費がかかる |
| ・紫外線99%カット性能付き | ・密着するまで期間が必要になる |
| ・遮熱(断熱)タイプのフィルムもある | ・プロに頼むと費用がかかる |
| ・施工後はメンテンスフリー(耐用年数は約10年) | |
飛散防止フィルムの費用の目安
飛散防止フィルムの設計価格は、1㎡あたり10,000円が相場です。※価格設定は、フィルムの種類によってメーカーが価格を決めています。
例えば、6㎡(リビングにある掃き出しガラス2枚で約3㎡)を施工した場合、耐用年数を10年(120ヶ月)で計算すると、1ヶ月あたり500円になります。
一回の施工で長期に渡り窓の飛散防止対策ができるほか、見た目も変わらず、紫外線99%カット性能などの福利効果も得られるため、プロに依頼した場合でも費用が高いとは言えません。さらに遮熱フィルムの場合は、窓の日射熱を遮ることでエアコンの効きを良くなるため省エネ・節電につながります。
【プロに依頼した場合の費用計算の一例】
6㎡×10,000円=60,000円
60,000円÷120ヶ月=500円
※消費税、諸経費は別になります
綺麗に貼るにはガラス面の清掃や施工時のポイントが重要になります。気泡やごみが入ると見た目が悪くなるだけでなく、本来の性能を正しく発揮できない可能性もあります。また、施工直後はフィルムとガラスに水が残っている(水残り現象)ため、フィルムが完全にガラスと密着するまでしばらく時間(夏場:1~2週間、冬場:1ヶ月程度)がかかります。
防災対策でフィルムを貼る場合でも、どのガラスにも貼れると考えず、ガラスの種類や製品、貼る大きさや枚数によっては専門業者に相談することも重要です。
ガラスの種類(複層ガラス、ペアガラス、網入りガラスなど)によっては熱割れするリスクがあるため、注意が必要なケースもあります。
熱割れは、ガラスの部分的な温度差によって内部に熱応力が発生し、ガラスにヒビが入る自然現象です。とくに網入りガラスやペアガラスは構造上、熱割れが起こりやすく、そこにフィルムを貼ることで熱割れのリスクを高める可能性があります。
では、「網入りガラスやペアガラスには貼れないの?」と思われますが、事前にガラスの種類や方角、影の入り方などから熱割れ計算することで、数値上で施工可能かどうか判断することができます。この熱割れ計算は、窓ガラスフィルム施工技能士(国家資格)を取得している方であれば誰でも計算できます。
ホームセンターなどで売られている市販のフィルムの裏面には「網入りガラス、ペアガラスには貼れません」となっている理由は、こうした熱割れ計算ができないのが理由の一つです。
必ずしも、「熱割れリスクがある=貼れない」というわけではありませんので、ご不安な方は有資格者のいる専門業者に相談してみるとよいでしょう。
このような場合には飛散防止フィルムがおすすめ
マンションにはシャッターがないため、台風の接近や災害時の対策として飛散防止フィルムが有効です。また、戸建ての出窓も構造上、シャッターが設置しにくいため、出窓にも飛散防止フィルムはおすすめです。他にも飛散防止フィルムを貼ることで効果を得られやすい場所などを下記にまとめました。
| ● 新築購入時のタイミングで窓の安全対策がしたい方 |
| ● シャッターがないマンションには飛散防止フィルムが有効 |
| ● 見た目や明るさの変化がなく、窓の飛散防止対策がしたい方 |
| ● 毎回、台風が来るたびに窓ガラスの対策が面倒な方におすすめ |
| ● 窓ガラスの飛散防止と紫外線対策を同時にしたい方 |
| ● お年寄りやお子様やペットがいる方の安全対策 |
飛散防止フィルムと養生テープの比較一覧
飛散防止フィルムと養生テープを整理・比較すると、次のようになります。
| 項目 | 飛散防止フィルム | 養生テープ |
| 飛散防止効果 |
◎ ガラス破片を保持し、飛散を抑える |
△ 一時的な飛散抑制 |
| 耐久性 |
◎ 約10年を目安に貼り替え |
△ 短期間の応急対策向き |
| 施工性 |
△ 専門業者による施工 |
◎ 手軽に貼れる |
| 費用 |
△ 材料費・施工費がかかる 1㎡あたり10,000~12,000円程度 |
◎ 安価 1本(25m)200~300円程度 |
| 見た目 |
◎ 透明で目立たない |
△ テープが目立つ |
| メンテナンス |
◎ メンテナンスフリー 突然の地震や災害時でもそのまま |
△ すぐに剥がさないと跡が残る 台風が来るたびに貼る必要がある |
| 台風対策 |
○ 平常時から備えられる 効果を発揮するまで時間がかかる |
○ 緊急時の対策として一定の効果あり さらに補強する必要がある |
手軽さと費用では養生テープが有利ですが、長期的な対策で検討・対策するなら飛散防止フィルムのほうが適しています。
とくに平常時から地震や台風に備える場合は、「JIS A 5759」適合製品を確認して選択することが重要です。
飛散防止フィルムと貫通防止フィルムは別
飛散防止フィルムと貫通防止フィルムは同じものではありません。
飛散防止フィルムは、基本的に「ガラスが割れた後の破片を飛び散らせない」ためのものです。一方、貫通防止フィルムは、物が衝突した際にガラスを突き破ることを防ぐことを想定しています。そのため、台風対策で「飛来物による窓の貫通まで防ぎたい」という場合には、飛散防止フィルムでは不十分になりますので注意が必要です。
ちなみに一般的な飛散防止フィルムの厚さ(50μm)に対して、200μm(4倍)以上の厚みがあるものを貫通防止フィルムとして扱われているメーカーが多く、防犯フィルムの場合は350μm以上の厚さが基準になります。そのため、合わせガラス(防犯ガラス)や、すでに防犯フィルムを貼っている場合には貫通防止対策としても有効になります。
台風が近づいてから養生テープを貼る意味は?
急な台風接近でフィルムを施工する時間がない場合には、養生テープを貼ることが緊急対策の一つになります。
ただし、「テープを貼ったから安全」ではありません。
可能であれば、雨戸(戸袋)やシャッターを閉め、窓の近くから離れて過ごすことが重要です。また、カーテンやブラインドを閉めることもガラスが割れた際の補助的な対策になります。
また、屋外にある植木鉢など、強風で飛ばされてガラスが割れる原因となるものは台風接近前に予め移動させておくことも重要です。
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